ウィローボウ

ウィリアムモリス・ウィローボウ　William Morris　Willow Bough

ウィリアムモリスの代表作の一つ『ウィローボウ』。
大きく二つに分けるとイギリス本国製と川島織物セルコンの日本製があります。
川島織物セルコンでは織物として二柄五色のドレープと編物のレースをラインナップしています。イギリス製は従来のカラフルなプリントに加え重厚な織物、ナチュラル・低彩度の “ピュアモリス” シリーズとしてプリント・刺繍など、多種多様な展開をしています。
「どこが違う？」「どれが良い？」ファブリカの出張訪問でご覧いただく “大きなサンプル” で比較しました。

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新たに国内メーカー「リリカラ」からプリントの、「サンゲツ」から、ジャカード織の『ウィローボウ』が発売されました。
本編後半で川島織物セルコンを加えた国内メーカー三社の『ウィローボウ』の比較をしています。

左から順に、W051(イギリス製織物)、K037(日本製織物)、M019(イギリス製プリント)、代表的な『ウィローボウ』のグリーンを並べています。

同じ柄でも素材・表現方法でずいぶん印象が異なります。
左のイギリス製織物は綿80％なのでくっきりと発色が良く、地厚でどっしりとした重厚感を持っており、アンティーク・クラッシックなイメージが強く、インテリアの中では主役になる存在感を持っています。
中央の日本製は日本の製品らしく緻密で高品質。ポリエステルなのであまりコントラストの効いた色柄にはなりませんが、光沢も抑えめの落ち着いた雰囲気。そのおかげもありさらりとした和の雰囲気を感じさせ、日本の家具などのインテリアエレメントとの相性も良好で、インテリア全体を調和させる効果も持っています。
右はイギリス製の中で日本では一番ポピュラーなプリント生地です。比較的薄手の綿100％で発色のよさもあり、イメージ的には他の二点と比べやや軽快でカジュアルな印象です。リビングからプライベートルームまで広範囲に使えます。

次は、新たに移動ショールームに加わった生地サンプル、グリーンのウィローボウ二点を比較しました。

左から順に、W038(イギリス製プリント)、比較用にK037(日本製織物)、遮光二級のK505(日本製織物) 。

左イギリス製プリントのウィローボウ。以前からあったのですが今回サンプル群に加わりました。基布に約53％の麻と35％の綿を含んでいます。天然素材なので発色が良いことと、麻の効果による適度な腰のあるドレープ性が特徴です。
右はポリエステル100％の遮光二級。遮光性能を出すために黒糸を織り込んでいるので、全体的にグレーがかったシックな印象です。ベース地に対し葉部分にやや強めの光沢を持たせているので、ちょっとクールで都会的な雰囲気をもっています。

ついでに、イギリス製プリントウィローボウを並べてみました。

左から順に、W038(イギリス製プリント)、M019(イギリス製プリント)、M018(イギリス製プリント)。

同じプリント生地どうしでもかなり印象は違います。ポピュラーなM19・M18の色違い兄弟はカジュアル感が強いのですが、新入りW038は兄弟の中間ぐらいの色相で、ややトーン(明度･彩度)を落としているせいか、兄弟よりもグッとフォーマルな印象です。

おまけに、モノトーン系のウィローボウ。

左から、W015ピュアウィローボウ･プリント(イギリス製)、W017ピュアウィローボウ･織(イギリス製･廃番)、遮光二級のK507(日本製織物) 。

左W015は麻90％のプリント。麻のわりにザックリ感は控え目で、綿のようなソフトでサラッとしたテクスチャーです。
中央W017（廃番）は綿約半分にレーヨン・麻・アクリルなどを使用し、W015とは対照的に地厚でどっしりとした重厚感のある生地で、マーチンデール法60,000回の摩耗強度を持っており椅子張りにも最適です。
右K507はウィローボウのカーテン生地で国内外含めて唯一の黒ベース(メーカーの表示はBRになってます)。遮光二級。黒っぽいということであれば、W017の兄弟に”インク”という名の濃いグレー系のカラーもあります。大きなサンプルはご用意しておりませんが。

もう一つおまけに、シアーのウィローボウ。

一般的にボイルと呼ばれている織の細かいシアー生地に、プリントで柄を表現したのが左のW039「ウィローボウマイナーボイル」（廃番）。右は通気性のよい編みレースのウィローボウ。柄は一緒でも対照的な織物です。W039は通常の約半分タテリピート21cmの細やかな柄。K057も27.8cmと、ウィローボウとしては細かめのリピートです。

新たに加わったブルーのシンプリーモリス「ウィローボウ」。ブルー系も並べてみました。

ずいぶんと違うこと。地色がほぼホワイトであることを差し引いても、プリントのシンプリーウィローボウは明るく鮮やか。ブルーの良さを引き出している感じです。プリント生地と並べてしまうと、だいぶぼやけた印象になってしまいますが、中央のイギリス製織物のブルーも落ち着いた雰囲気の中に清涼感を感じられます。右の日本製織物は地色がベージュというよりライトブラウンで、黒糸を織りこんだ遮光ということもありなかなかシック。色違いのグリーンと同様に都会的でクールな印象です。

ここから、国内カーテンメーカー三社の『ウィローボウ』比較です。両サイドがサンゲツ・リリカラです。

左から順に、サンゲツ T105,　川島織物セルコン K037,　リリカラ T012,

メーカー三社ともポリエステル100％のウォッシャブル・防炎のドレープですが、左:サンゲツと中央:川島織物セルコンはジャカード織物、右:リリカラはプリント（印刷）です。
柄のサイズは中央:川島織物セルコンが一番大きく、タテリピート53.8cm。右:サンゲツは少し小さくタテリピート49.5cm。右:リリカラが一番小さく40.5cm。リリカラは川島織物セルコンの3/4程度の大きさ。柄が少し細かく見えます。
両サイド新規参入サンゲツ・リリカラは、偶然狙いどころが一致したのでしょうか、似たようなイメージのアイボリー地に彩度を抑えたグリーン系の葉。ピュアモリスとシンプリーモリスを足したような雰囲気です。実際には織物とプリントですから全く違うものなのですが、ちょっと離れて見ると見分けがつけにくくなります。川島織物セルコンとはずいぶん印象が異なります。
光沢感は三メーカーとも大きな差はありません。ポリエステル100％の生地としては、比較的に光沢感低めで落ち着いた雰囲気です。

表面を個別に見てみます。ジャカード織のサンゲツ vs 川島織物セルコン。

左 : サンゲツ T105,　右 : 川島織物セルコン K037

上の画像で見ると柄の大きさも近いので、色違いのドレープかと思ってしまいますが、実際にはかなりの違いがあります。サンゲツの地色アイボリーは光沢抑えめのかなりマットなテクスチャー。葉っぱは光っています。もう少し拡大した画像を見てみましょう。

左 : サンゲツ T105,　右 : 川島織物セルコン K037

サンゲツはベース地アイボリーの緯糸がけっこう太め。地厚な感じはしますが、計測値（後述）を見ると普通の厚さでした。太糸のゴワッとした触り心地が厚さを感じさせるのかもしれません。見ての通りですが織密度には結構な差があります。川島織物セルコンのウィローボウの方が緻密に織られています。密度さえ高ければ良いとは言えませんが、テレビ画面のように画素数が多いほどクッキリ・リアルに見えるのと同じで、織密度が高いほど柄はハッキリ、綺麗に見えます。

続いてプリントの生地。リリカラ vs オリジナルのイギリス製（マナトレーディング）。

左 : リリカラ T012,　右 : イギリス製 M018

プリント生地なのでリリカラの比較対象はイギリス製にしています。
リリカラはポリエステル100％のウォッシャブル、イギリス製は綿100％で水洗いは不可。発色の違いがよく表れています。ただしリリカラはクッキリ・ハッキリは狙っていないかもしれません。敢えてぼかし気味にしている様子で、アイボリーのベース地にもブラウンの緯糸を織り込んでいます。ふんわりとしたソフト路線を狙っているのでしょう。もう少し拡大してみます。

左 : リリカラ T012,　右 : イギリス製 M018

ソフト路線のリリカラは織もやや粗めで薄く織られているので、ケースメントほどではありませんがやや透過性があります。糸と糸の間の隙間が大きいと透け感が出てしまいます。淡色の明るいカラーなので、気になる方は夜間の透け具合に注意した方が良いかもしれません。他のウィローボウと比べ、グーンとソフト・カジュアル感が強いイメージです。イギリス製プリントは遮光性はありませんが、透過性もありません。

一応、裏面も見ておきましょう。左サンゲツ、右リリカラ。

ジャカード織のサンゲツ。プリントのリリカラ・ウィローボウは薄いので、プリントの裏映りもややハッキリめです。

ここで、厚さ計測です。

150㎠・475ｇの木板を重ねた生地に乗せて計測。板厚を差し引いた計測値を生地枚数で割ります。
生地厚さ結果　【左 サンゲツ織物 : 0.72mm】【右 リリカラプリント : 0.41mm】
比較対象の二枚も測っています。【川島織物セルコン織物 : 0.71mm】【イギリス製プリント : 0.47mm】
サンゲツと川島織物セルコンはほぼ同じ厚さ、測定誤差の範囲内です。リリカラとイギリス製も15％程度の差でした。
川島織物セルコンのウィローボウはサンプルとして15年以上使用されているものなので、少し痩せているかもしれません。

続けて重量チェック。ハカリに乗せ、サンプルの生地面積で割ります。

生地重量結果　【左 サンゲツ織物 : 362.6g/㎡】【右 リリカラプリント : 209.3g/㎡】
比較対象の二枚も量りました。【川島織物セルコン織物 : 314.0g/㎡】【イギリス製プリント : 221.9g/㎡】
サンゲツは川島織物セルコンより15％程度重い。リリカラとイギリス製は5％程度の差でした。

最後にコストパフォーマンス比較。

オーダーカーテンはたいていの場合、カーテンメーカーが設定した定価（希望小売価格）から、小売店・家具店・量販店や建設会社などが何パーセントか割引きをして販売されています。
メーカーの定価設定が高い場合は割引き率も大きくなり、定価を抑えているものは割引き率も低くなっている傾向です。
実際の『カーテンの価値』は割引き後の実売価格に比例しています。『50％OFF』などの割引き率が高いものが『お得』と言う訳ではありません。

リリカラ・サンゲツは定価設定の高いメーカーなので、割引き率は大きくなります。以下はファブリカの販売価格です。

『ウィローボウ』カーテンはW200cm×H210cmの場合　2.0倍ヒダ　形態安定加工　単位 : 円（税別）　コスパ評価はファブリカ独自

リリカラの実売価格はとてもフレンドリーですが、高級感・存在感なども価格なりです。単に『ウィローボウの柄が好き』『ナチュラルでソフトな雰囲気にしたい』という場合を除いて、ウィリアムモリスに高級イメージ求める方にはあまりお薦めできません。
サンゲツは川島織物セルコンと同じレベルの実売価格となっていますが、織密度・テクスチャーなどを考慮すると、同じ価格帯に属することには疑問符が付き、コストパフォーマンスが高いとは言えません。

それぞれのウィローボウに個性・特徴があり、方向性・用途に合った選択をすることで、より良いインテリアを目指しましょう。
以下はより詳しい生地個別のご案内です。カーテンやプレーンシェードの販売価格など、《More information》からご覧下さい。

ウィローボウの生地リスト・価格　List & Price

移動ショールームの『ウィローボウ』の大きな生地サンプルは17点。【出張訪問】でご覧いただけます。

W068　Willow Bough
26,500/m　イギリス製

W003 Pure WillowBough Emb.
42,600/m　イギリス製

W015　Pure Willow Boughs
22,200/m　イギリス製

W038　ウィローボウ
24,200/m　イギリス製

W051 ウィローボウ（織）
33,200/m　イギリス製

W052 ウィローボウ（織）
33,200/m　イギリス製

W053 ウィローボウ（織）
33,200/m　イギリス製

K036 ウィローボウ
9,100/m　川島織物セルコン

K037 ウィローボウ
9,100/m　川島織物セルコン

K505　ウィローボウBL
11,500/m　川島織物セルコン

K506　ウィローボウBL
11,500/m　川島織物セルコン

K507　ウィローボウBL
11,500/m　川島織物セルコン

K057 ウィローボウレースⅡ
5,000/m　川島織物セルコン

M018 ウィローボウ
12,700/m　イギリス製

M019 ウィローボウ
12,700/m　イギリス製

T012 ウィローボウ
5,800/m　リリカラ

T105 ウィローボウ
14,500/m　サンゲツ